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2009/12/07

12/7:高速道路の適正な料金とは?

◆横浜・東京:はれ:15538歩

 7時45分出社。コーヒーを飲みながら日経を熟読していると不幸の知らせ。年に1度あるかないかのレベルのトラブル。修理機材を抱えてタクシーを飛ばす。げんなり。幸い、単純な故障で復旧は早く18時に退社。たまには時事問題を検討する。
 民主党マニフェストの中でも評判の悪い高速道路の無料化。見直しの動きも出てきているようだし、小生も全面的に賛成ではないけれど、反対派の主張もちょっとレベルが低い。今日の日経にも、「特急券は必要」との論調で、海外の例もあげて、識者の意見が載っていたけれど、特急券というのは、日本的発想で、海外の鉄道の多くには特急券もないし、有料の高速道路も少ない。
 まずは、どこに政策のフォーカスをあてるか。いくつもの論点があるので整理が必要。

1.建設費の回収のため。建設にお金がかかるのだから有料は当然なのか?

 一見、もっともなようだけれど、高速道路以外の道路も建設にお金がかかるけれど、一部をのぞきタダである。道路は公共財であって、これには、とるべきでないという面と、とりたくてもとれないという面が両方あるのだけれど、とにかくタダである。高速道路は出入口が限定されていて、とりやすいからとっているだけで、建設費をすべて料金で回収すべきかどうかは別問題である。実際、小泉さんが新規の高速道路着工を凍結して以来、名目は国道(したがってタダ)だけれど、実態は、インターチェンジで立体交差していて、高速とほぼ同じ規格の自動車専用道路が地方に増殖している。国道の名前を借りればタダになるのでは、意味がない。
 一方で、建設費の回収のためであれば、回収が終わったら、タダにすべきという議論もあり、東名などはとっくに回収は終わっているけれど、路線別にしないで全国プールにしてごまかしている。高速道路ではない有料道路である第3京浜なども、回収が終わりそうになったら、横浜横須賀道路の延長にお金がまわされている。建設のためのお金であれば、それぞれ課金すべきであるともいえるのだ。

2.財政再建のため。とれるところからとればいいのか?

 高速道路を無料化しても、国は借金だらけで、いずれ税金が上がるくらいなら、受益者負担で利用者に払ってもらった方がよいという意見。まぁ、国民感情的に納得いく部分はあるのだろう。ただし、適正な料金はいくらかという判断は難しい。収入を増やしたいのであれば、東名、名神や首都高速は徹底的に値上げすればいいことになる。10倍にしたって、使う人は使うだろう。同様に、土日1000円などもばかげていて、年末年始や夏休みなどのピーク時は、おもいっきり高くすべきだ。

3.景気対策のため。だったら、時限措置とすべきではないのか?

 前記2の裏返しになるけれど、景気刺激のために料金を下げるという選択肢はありうる。しかし、景気対策は本来一時的なもので、恒久的な値下げとは別の問題である。中長期的な適正料金は別途検討しなくてはいけない。麻生政権の1000円高速も時限措置だったはずで、その点では正しいといえよう。また、フェリー会社がつぶれるなどの問題もあるので、高速料金値下げの景気刺激の効果については、この機会にできるだけ検証しておきたいものである。

4.渋滞の問題をどう考えるか?

 ひと昔前まで、首都高速の渋滞が慢性化している中、値上げが行われると、「渋滞ばかりで低速道路だ。料金を下げろ。」という声が主流で、「経済学的には、混んでいるから値上げすべき」とはなかなか言えない雰囲気だったけれど、最近では、高速道路を無料化すると、渋滞が激しくなって、高速道路の意味がなくなるから無料化しなくてよいという声は徐々に広がってきている。渋滞を発生させず、高速道路の利便性だけを最大限に生かすということであれば、現在、慢性的に渋滞する区間(昔に比べればだいぶ減ってきたが)は値上げ、それ以外は値下げしてスムーズに流れるギリギリまで利用を増やし、地方の閑散路線などは無料というのが結論になる。

5.徴収コストの問題。

 これもひと昔前まで、有料道路にお金を払っても大半は、料金徴収のおじさんの人件費に消えるだけという議論があった。実際、今でも1日にひとりのおじさんがいくら集めているのだろう?という路線はある。ETCの普及前だったら、中途半端に料金とるのに人を置くくらいなら、タダにした方がよいという意見は説得力があった。(ただし、料金所のおじさんの配置も雇用対策と考えるとまた話はちがってくる。)しかしながら、自動発券機とETCの普及によって、徴収コストは以前に比べると大幅に下がっており、路線毎に細かい料金設定をすることも可能になってきている。

6.総合交通体系の問題。道路だけでいいのか?

 高速道路だけ値下げして、フェリー会社がつぶれてもいいのか?新幹線の料金は値下げしないのか?飛行機は?ということ。1000円高速でも、すでに地方のフェリーや地方JR3社などは相当な打撃を受けている。国のかたちとして、公共交通サービス全般をどう位置づけ、税金をどう使うのかの議論が本来必要である。新幹線やリニアを作れば、羽田の発着枠が空くと再三指摘してきたけれど、道路だけで議論していてはいけない。あんたは、鉄道ファンだから、鉄道びいきかと言われそうだが、そういう意味で、次の環境問題が大きな問題になってくる。

7.温暖化対策の問題。中長期的には鉄道や船へのモーダルシフトが必要。

 以前も書いたように、小生は、今の何でも温暖化対策ありき、何でもCO2削減ありきの風潮はうさんくさいと思っているけれど、鳩山内閣は盛大にぶちあげてしまった。盛大な目標をたてた以上、自動車中心の輸送を鉄道や船へ転換することは必須条件になってくる。特に貨物の拠点間輸送を鉄道や船にシフトすることはCO2削減効果という点では大きなものがある。そうなると、高速道路無償化ではなくて、高速道路の大型料金値上げ、JR貨物やフェリー会社への補助金という選択肢が浮上してくる。ただし、モーダルシフトは、高速道路を狙い撃ちしなくても、環境税でも対応できる。
 モーダルシフトとは規模が違うけれど、渋滞そのものもCO2排出を増やすので、前項4の議論のように、クルマをすいすい流した方が環境にはやさしいともいえる。

8.マニフェストに書いた以上、契約なのだから実行すべきという意見。
 
 世論調査などでは、マニフェストにあっても、無料化撤回可という意見が多いようだけれど、これはこれで立派な意見である。まずはこの政策を実行して、政権交代の形をひとつ明確に残して、政権の基盤を固めて中長期的には再検討するというのも政治判断としてはもちろんありうる。

 で、結局、どうなのよ?ということで、一応、小生が鳩山首相の立場にいたとして、どうジャッジするか。

<短期的施策>
・地方閑散路線を中心に無料化を試行。ただし、フェリー会社やJRと競合しにくい路線を選ぶ。
・景気対策としての各種割引は、ある程度継続するが、最ピーク時は逆に高くして、お盆や年末年始の渋滞の分散化をはかりつつ、財源を確保する。
・高速道路か国道かの名目にかかわらず、道路への国費投入について必要性を厳密に判断する。(新線建設より、既存国道の拡幅の方が効果的な区間は少なくないと思われる。一方で、首都圏環状道路など経済効果の大きい道路もまだ残っている。)

<中長期的施策>
・環境税もしくは類似の税制導入と引き換えに、高速道路料金は渋滞を起こさない範囲で値下げしていく。
・環境税や補助金により、特に貨物輸送の鉄道や船へのモーダルシフトを促進する。
・空港整備、新幹線建設、高速道路整備は、全体として議論して、効果的な高速交通体系の整備を考える。(今さら、どこの会社も飛ばない空港を作るよりも、高速鉄道や高速道路を隣県の空港に乗り入れた方がよいケースもあるし、新幹線を作って空いてしまう並行在来線が貨物輸送に活用できるケースもある。)

 さて、結論が出たところで、早々に寝ようかと思ったけど、今日のNHKスペシャルもおもしろそうだ。ビアとシウマイをいただきながら、沖縄キャムプの計画でもたてながら待つことにしよう。

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