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【復刻版】長野五輪観戦記・ジャンプ・ラージヒル(K=120)(1998/2/15)

 3度目の白馬。これまで好天に恵まれてきたが、今日は雪。そして、気まぐれな風。1本目の中盤に絶好の風。ランク下位の選手がK点近くまで連発。これなら、岡部がやってくれるはず。
「130m」
 やった。札幌でないるさんも喜んでいることだろう。
 
 そして、2回目。初めから絶好の向かい風。トーマが128m。昨年までなら、さすがトーマ、となるところだが、今では、これなら、トップは、130mの争い、と思うだけだ。とにかく、この風が、止まないことを祈り続ける。あいかわらず、場内は、弁士風の語り。「弱冠**歳、**の期待の星」などと繰り返し、場内から失笑を買う。とにかく、風が止まないうちに、早く。時折、大ジャンプも見られるが、風さえ吹いたままなら、絶対に大丈夫なのだ。

 25番スタート、原田。風はむしろさらによくなった感じ。行ける。大歓声の中スタート。高く力強い踏み切り。来た。
「うおぉぉぉぉーーーー」
 すごい歓声が待ち受ける。しかし、まだまだ来る。来た来た来た。
「うわぁぁぁぁーーーー」
 ついに出た!スーパー大ジャンプ。場内が揺れるような凄まじい歓声。足が震える。距離不明。得点不明。場内騒然。よくわからないが、やってくれたのだ。いつのまにか、試合は続行しているが、もう誰もあそこまで飛べるはずないのだ。

 ふたたび大歓声。船木スタート。我にかえり、チアホーンを鳴らすが、興奮していて、うまく鳴らせない。独特の鋭い前傾。今日の位置だと、前から見る感じで飛型の美しさは、半分しかわからないが、鋭い角度で、こちらへ向かって飛んでくる。来た。誰も飛べるはずのない、原田の地点のわずか手前まで、来た。20点満点5人。トップ。もう大丈夫。誰も来ない。

 船木金メダル。おめでとう!4位からの逆転は、見事。そして、ジュリー会議、原田はどうしたのか?現場にいると、わからない。まさか着地後転倒していたのでは?しかし、スーパージャンプには、ちがいない。歴史に残るあのジャンプを見せてくれれば、何も言うことはないのだ。
 そして、3位に名前が登場。銅メダル。おめでとう。この場に立ち会えて本当によかった。ありがとう!

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◆ジャンプ・ラージヒル(K=120)
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1位:船木(日本)
2位:ソイニネン(フィンランド)
3位:原田(日本)
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6位:岡部(日本)
47位:斉藤(日本)
(2回目に進めず)
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【復刻版】長野五輪観戦記・ノルディック複合・個人・クロスカントリー(1998/2/14)

 9時30分に起床。天気予報通りに外は雨。テレビをつけると、クロスカントリーの複合のフリー15Kmが行われている。7個目の金メダルをめざしたノルウェーの英雄ダーリは、最後にいっぱいになり銀メダル。実は、今日のノルディック複合のチケットは、このフリーと共通だったのだが、昨日の強行軍で、早起きできなかった。ダーリを見たかった気もするが、ちょっぴり残念。
 白馬から南へ3駅、大糸線、南神城駅から、徒歩20分ほどで、会場のスノーハープへ。試合開始間際に駆けつけたが、すでにゴールエリアだけでなく、コース沿いまで、超満員。前日のジャンプで健闘した日本勢への応援ムードが盛り上がる。

 W杯ランク1位のビークがスタートし、51秒後に、荻原次晴、さらに3秒後に、古川、そして9番目に荻原健司が、相次いでスタート。大歓声に見送られて、コースへ消えていく。
 最初のチェックポイント1.8キロで、6位スタートのラユネンが、早くも次晴をとらえる。ビーク、ラユネンまでは、実績的にもやむを得ないところで、その代わり2位スタートのロシアのストリャロフを捕らえなくてはならない。
 15分後、あっという間にビークが、1周目を終えて、帰ってきた。目の前を通っていくが、予想以上に速い。5キロ15分といえば、マラソンとほぼ同じ。沿道で、待っていると、選手があっという間に過ぎていってしまうが、あの感じに似ている。悪コンディションの中、表情をあまり変えずにビークは飛ばしており、逃げ切りは濃厚だ。
 続いて、ストリャロフ、ラユネンの2位グループが通過。ラユネンが猛追するが、ストリャロフも、2位を譲らない。この展開は誤算だ。続く4位グル-プは、古川は脱落するが、次晴は、健闘。そして、健司がここまで追い上げてきて、兄弟併走。チアホーン、日の丸の大声援。

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↑4位集団。次晴を追う健司

 2周目(10キロ)を終えても、ストリャロフが2位を死守。荻原兄弟を含む4位グループとの差が詰まらない。ラユネンが2位に出て、ストリャロフがいっぱいになれば・・・の期待も、ストリャロフの大健闘で、厳しくなってきた。
 そして、掛け値なしに、あっという間、という感じで、ビークが、ゴールへ。ストリャロフが2位、ラユネン3位。しかし、健司も、大声援の中を、集団から抜け出し、見事に4位。いったんは疲れたかに見えた次晴もゴール前、歓声に応えるように、6位に上がってゴール。惜しくもメダルは、ならなかったが、生で観戦していると、ごくろうさま、よくやった!という感じになるから不思議。この勢いで、団体でも、がんばって欲しい。

 スノーハープからの帰路、南神城駅は、大混雑。シャトルバスが信用できない、ということで、日を追うにつれ、お客さんは、徒歩&JRへ流れているようで、ホームからは人があふれ、パニック寸前。駅員が、携帯電話で連絡をとり、急遽快速を臨時停車させるなどの措置をとったが、別の駅員は、それを知らずに、
「しばらく松本方面の電車は来ませんので、ホームから出て下さい」
 などと放送しており、混乱を極めた。急に気温が下がり出し、雨が雪に変わり、寒さも厳しくなってきたが、行列する人々は、案外冷静で、
「健司もがんばったが、我々もがんばった」
 などと、なぐさめあっている。

 幸いにも、予定していた電車には、乗ることができ、ダイヤは、乱れたものの、どうにか岡崎朋美選手のテレビ中継に間に合った。島崎選手との同走で、昨日と同じ38秒55で銅メダル獲得!オランダにもファンクラブがあるという素敵な笑顔が輝いていた。今日は、応援に行かれず残念だったが、とにかくおめでとう!

◆ノルディック複合・個人・最終結果
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1位:ビーク(ノルウェー)
2位:ストリャロフ(ロシア)
3位:ラユネン(フィンランド)
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4位:荻原健司(日本)
6位:荻原次晴(日本)
23位:古川(日本)
38位:森(日本)
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【復刻版】長野五輪観戦記・スピードスケート・女子500m・1回目(1998/2/13)

 例によって、大混雑のジャンプ会場をなんとか抜け出して、白馬駅へ急ぎ、12時43分の「スーパーあずさ」をゲットすると、さらに松本で、「しなの」に乗り換え、15時すぎに、長野駅へ到着する。白馬も暖かかったが、こちらは、春を思わせる陽気である。オリムピック開催の本拠地、長野駅周辺は、華やかな雰囲気で、外国人の姿もめだつ。そして、ここで、今回はじめてダフ屋さんの姿を発見するが、なぜか外人さんばかりであった。

 シャトルバスで、エムウェーヴへ。今回、金券ショップめぐりを続けるなか、チケットの入手が最後まで困難だったスピードスケートの女子500m。今回の出場女子選手の中でも、人気No.1の岡崎朋美選手の応援である

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 オリムピック用に作られたエムウェーヴは、テレビで見るよりは、小さい感じだったが、きれいなリンク。ちょうど向正面で見る感じだが、日本選手の応援団が、陣取っており、特に三宮選手と岡崎選手の熱狂的な応援が繰り広げられている。
 日本選手のトップバッターは、島崎京子選手。スラップでの記録が伸び悩み、第1シードから外れているが、今日は、好スタートから、気迫のこもった滑りで、38秒75のオリムピック記録で、トップにたつ!その後、三宮、楠瀬は大歓声の中、39秒台に終わるが、有力外国人選手も思うように記録が伸びない。
 17組は、世界記録保持者のルメイ・ドーン。力強い滑りで、目の前をあっという間に通過していく。最終カーブもパワフルで、38秒39で、トップに立つ。
 最終19組で、いよいよ岡崎朋美登場。島崎同様、好ダッシュを見せると、ぐいぐい加速して、大歓声の中、目の前を通過していく。最終カーブもそのまま突っ走って、38秒55!日本記録で、3位!場内に歓声がとどろく中、1周流すと、ようやく笑顔がこぼれた。外国勢が、伸び悩む中、4位島崎とあわせて、自分の持てる力を出しきり、明日にメダルへの期待をつなげてくれた。午前の複合に続いて、午後もうれしい誤算。明日は、残念ながら、チケットがとれなかったが、ぜひメダルを!

スピードスケート・女子500m・1回目
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1位:ルメイドーン(カナダ) 38秒39
2位:オーク(カナダ) 38秒42
3位:岡崎(日本) 38秒55
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4位:島崎(日本) 38秒75
12位:三宮(日本) 39秒25
14位:楠瀬(日本) 39秒56
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翌14日の2回目、岡崎朋美選手は、前日と同じ38秒55、2回合計、
1分17秒10で見事に3位、銅メダル獲得!おめでとう!
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【復刻版】長野五輪観戦記・ノルディック複合・個人・ジャンプ(K=90)(1998/2/13)

 初のジャンプ観戦となったノーマルヒルから、わずか2日。生ジャンプの魅力にはまってしまった小生は、またしても白馬にやってきた。今日は、荻原健司に期待がかかる、ノルディック複合・個人の前半ジャンプである。
 一昨日と同様のすばらしい天気に恵まれた。場内DJも、弁士風の選手紹介もまったく同じ。「弱冠**歳、○○の中堅・・・」を連発する、怪しげな弁士風の紹介は、あちこちで、失笑をかっており、みんな気になっているようだ。
 純ジャンプとちがって、日本勢が、ランク上位を独占しているわけではないので、まずは古川が11番目のスタート。しかし、いきなり87mの大ジャンプで、場内が盛り上がる。今日は、B立席での観戦なので、飛型などは、わかりずらいが、盛り上がりは肌で感じられる。ちょうど、A席が内野で、B立席が外野といった感じである。
 そんな中、今季不振を極めていた、荻原次晴が、大ジャンプ。そして、期待の兄健司だが、風にも恵まれず85.5mともう一歩。試技で88mを飛んでいただけに惜しい。しかし、その後も有力選手のジャンプが、まったく伸びてこない。ラユネン、シュティヒャーも失速し、W杯トップのビークだけが大ジャンプ。次晴が4位に残る。
 そして2回目。一転して、日本勢は、後半に固まったが、兄健司が、意地のK点ジャンプ。場内はますます盛り上がるが、その余韻も冷めぬうちに、古川が、次晴が、91m、91.5mと大ジャンプを連発。低迷していた日本複合チームだが、オリムピックの大舞台で、見事な大番狂わせを演じてくれた。結局、次晴が3位、古川が4位とさらに順位を上げ、健司も1分30秒差の9位まで追い上げた。王者ビークが2回目も大ジャンプでトップだけに、金メダルは、難しいが、クロスカントリーに実績のある有力選手が、ジャンプで出遅れているだけに、次晴、健司の兄弟メダル争いも期待できる。明日がとても楽しみになってきた。そして、3連覇が絶望視されていた団体戦もひょっとしたら、という感じもでてきた。すばらしい天気の下、今日も生ジャンプの魅力を満喫できた。最高の前半戦だったといえるだろう。

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◆ノルディック複合・個人・ジャンプ(K=90)
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1位:ビーク(ノルウェー) タイム差
2位:ストリャロフ(ロシア) 36秒
3位:荻原次晴(日本) 51秒
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4位:古川(日本) 54秒
9位:荻原健司(日本) 1分30秒
34位:森(日本) 4分36秒


【復刻版】長野五輪観戦記・ジャンプ・ノーマルヒル(K=90)(1998/2/11)

 待望のオリムピック、ジャムプの観戦。仕事をあわただしくかたずけ、待ち合わせの新宿駅ホームにたどりつく。そこに現れたのは、今回の旅を伴にする、おぎさん、ではなく、「ジャムプには興味がない」はずの、おなじみ、うしさんであった。
 指定席がとれず、心配された、夜行急行だが、増発3本を含めた4本体制で、自由席の列は、短い。わざわず見送りに来てくれたうしさんとともに、出発前の一時を、”enjoy天狗”にて、楽しく過ごすことが、できた。ビールで、体も温まり、いよいよ出発である。
 おぎさんとしばらくジャムプ談義、競馬談義を続けるうちに、八王子を通過。遺憾ながら、りくおさんの姿は、発見できなかった。白馬には、明朝6時前の到着のため、早めに就寝とするが、車内は、いつまでも減光されず、放送も続き、眠れない。
 大月、甲府、小淵沢、茅野、上諏訪・・・とほとんどの駅を覚えてしまっていて、眠れない。そうこうしているうちに、松本から大糸線に入り、白馬駅到着。

 競技開始までかなり時間があるが、とりあえずシャトルバス乗り場へ向かう。地元のボランティアの人たちの誘導に従い、肉まんを購入してから、バスに乗り込む。バス10分、徒歩10分で、無事に会場へ到着した。
 快晴、無風、気温も上がり、観戦には絶好のコンディション。実力勝負に持ち込みたい日本勢にも、悪くない条件だ。ないるさんの教えてくれた完全防備を少しおろそかにした小生も、十分対応できる暖かさである。
 そうこうしているうちに、テストジャンプ開始。ベテランの西方選手や、急成長の高橋選手もいるはずなのだが、名前は教えてくれない。そして、いよいよ試技開始。日本勢4人とも大ジャンプを連発するが、なかでも、原田選手の95.5m、船木選手の92.5mがワン・ツーで、幸先よく、開始前から盛り上がってくる。また、開始前のひととき、原田選手と思われる人影があらわれ、観客席に向け、盛り上げ役を買って出ていた。一番緊張する時間帯に、ファンサービスに努めるのだから、えらい。ちなみに、この時間になっても、我々のいるブロック指定席が、埋まってこない。早く着いた我々は、ベストポジションをキープしているが、空席が目立つのが、不思議である。最終的には、かなり埋まったのだが、シャトルバスが、渋滞で破綻して、競技に間に合わない人が出ていたとは、この時は、夢にも思わなかった。

 試技の結果で、ゲートが2つ下げられ、いよいよ1回目。62人の選手が飛ぶが、勝負は、やはり最後の15人くらいから。日本のトップバッターは、ギリギリで、代表枠に滑り込んだ葛西選手。チア・ホーン響きわたる中、87.5mの好ジャンプ(5位)。斉藤選手も、86.5m(7位)と手堅くまとめ、いよいよ原田選手。
 大歓声の中、91.5mの最長不倒でトップ。ラストの船木選手も完全ではないものの、飛型でカバーし、4位につけ、2回目にメダル量産の期待をつないだ。
 一つゲートを上げた2回目も、記録はそれほど伸びず、僅差の中に、上位がひしめく展開。斉藤が83mと伸びず、後退。葛西も伸ばせず、ペテルカが大ジャンプで上位に。しかし、船木が、90.5mとこの回の最長不倒で、トップに立ち、日本勢のメダルを確定。ビドヘルツェルも抑えたが、フィンランドのソイニネンが2本目も大ジャンで、僅差ながらトップに。
 そして、原田。88mくらい飛べば、トップということで、試技からの勢いでは、まずまちがいなく勝てると思った。大歓声の中、飛び出すが、数秒後には、会場が大きなため息に包まれてしまった。リレハンメルの団体ほどの失敗ではないのだが、スタ-ト前に少し待った影響か、プレッシャーか、いつもの豪快な飛び出しが影を潜めてしまった。
 期待が大きすぎただけに、悔しさもあるが、船木選手の銀メダルは、もちろん立派。得意のラージヒルも残っており、まだまだ期待したい。ただ、メダルが期待されるジャンプの立場としては、斉藤、葛西両選手よりも、一発の魅力のある岡部選手をラージヒルには、起用してほしい気もする。そして、もちろん、斉藤選手の安定感は、団体戦では貴重なものであることは、間違えない。

 なお、4万人の人が入った会場からの脱出は、困難を極め、近道をしようと、階段ではなく、崖の斜面を滑り降りた我々一行だが、危険極まりない。結局、最後は、階段に戻ったが、登山スタイルでもなんでもない一般の人が、雪の斜面を将棋倒し一歩手前で、滑り降りるのは、いつ大惨事が起きてもおかしくなく、大変気になった。30分くらいで、会場から脱出すると、今度は、シャトルバスが、混乱を極めており、地元テレビ局の人が、
「競技は見られましたか?」
 などとインタビューしている光景に出くわした。何を聞いているのかと思ったが、どうやら間に合わなかった人がいるらしい、ということがわかってきた。シャトルバスや、オフィシャルバス(コカコーラ・バスだとか、マックシェイク号なんていうのも)が混乱しており、結局、我々は、30分ほど歩いて白馬駅へ戻り、「スーパーあずさ10号」のキャンセル分をゲット。大きな混乱もなく帰京できたのは、ラッキーだった。
 初のジャンプ観戦だったが、迫力、臨場感はもちろんのこと、飛距離や飛型も、テレビ観戦よりもよくわかり、好天にも恵まれ、大変堪能できた。原田選手は、やらかしてしまったが、船木選手銀メダル。まずは、おめでとう!

19980211

◆ジャンプ・ノーマルヒル(K=90)
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1位:ソイニネン(フィンランド)
2位:船木(日本)
3位:ビドヘルツェル(オーストリア)
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5位:原田(日本)
7位:葛西(日本)
9位:斉藤(日本)
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