【復刻版】'99 豪華寝台特急「カシオペア」号で行く札幌競馬・登別温泉の旅(1999/8/27-30)
◆8月27日(金)
上野駅の地平ホームから旅立つのは、いつ以来だろう。ヨーロッパのターミナル駅を思わせる行き止まりのホーム。友人との初めての北海道旅行は、たしかこのホームに朝からで並んで、急行「八甲田」で北上したものだった。あれから13年連続で、20回は行っている北海道だが、上野駅からの旅立ちは、数えるほどである。
衰退著しい寝台特急の挽回の切り札として、JR東日本が投入した「カシオペア」。全車A寝台2人用個室という、過去に例を見ない豪華編成。旅立ちへ前の気持ちの高ぶりは、いつものことだが、今回はどきどき感も一味ちがう。13番線にもうけられた、カシオペアと北斗星利用者の専用待合室に到着したのは、出発の1時間以上も前。空港ラウンジを思わせる専用待合室の発想は素晴らしいのだが、空調の都合が、いかにも暑い。旅立ちにかかせない千疋屋のシャーベットが溶けてしまいそうで心配である。
ほどなくうし様も到着。入線時は、カメラの列。全車A寝台2人用というコンセプトから、若い鉄道マニアよりは、家族連れが目立つが、みなうれしそうに記念撮影に余念がない。毎日新聞編集委員だが解説委員だかテレビでよくみかける岩見氏も撮影後、2号車に乗り込んでいたようだ。
定刻16:20に上野駅を発車。札幌まで16時間の旅の始まりである。我々のカシオペアツインは標準的なタイプだが、ベッド2つが2段ではなくL字型に配置され、BSテレビに、トイレ、洗面台もついている。大宮到着を前に、アテンダントからウェルカムドリンクのサービスも行われた。全車個室にもかかわらず先頭には共用のロビーカーがありにぎわっている。おなじみの東北線の景色も、何かちがってみえる。ダイニング・カーの予約はできなかったものの、個室でお弁当をいただきながら、車窓に夏の夕暮れを眺める気分は格別である。
今回は、ダンナこと酒井氏は、イタリア遠征中で不在。夏の旅の欠かせないパートナーであった、カト氏も不参加となり、うし様との2人旅であるが、スペシャルゲストが登場することになっている。しかしながら、個室におさまってみると、車内は密室空間であり、車掌が隣の4号車に陣取ってる。作戦は成功するのか?郡山に近づくに連れ、我々のドキドキは高まってくる。
19時すぎに郡山到着。おやじさん登場!車掌を巧みにかわしての見事な乗車っぷりである。さすがである。お寿司に加え、新宿「にいむら」で修行したという店の美味しいトンカツもいただく。わずかに40分で福島到着となってしまったが、おかげさまで楽しいひとときを過ごすことができた。感謝感謝である。
おやじさんも降りてしまい、マリーンズvsブルーウェ-ブ戦も終了してしまうと、さすがに退屈になってきた。札幌まで16時間はけっこうだが、ビジネスユースをあきらめているなら、もう少し遅い出発だとありがたい。明日の朝の札幌着は8:55だが、これはちょっと早く、その分、前の晩が長い感じだ。BS以外には、ビデオ放送もあって、小生の好きな「駅~STATION~」を放送しているが、上野出発から3回も繰り返すとは脳がない。おやじさんのごちそうでお腹もいっぱいであり、食堂車のパブタイムはやめて、BSでパン・パシフィック選手権を見て就寝。
◆8月28日(土)
さわやかな朝。車窓には、北の大地が広がっている。食堂車で和定食。ウエイトレスのお姉さんは、深夜1時就寝、5時起床というハードワークにかかわらず、元気がよくて気持ちいい。
「眠れるんですか?」
との質問にも、
「爆睡です。」
と明快な答え。
例によって、うしさんが眠れなかったため、心配されたイビキ問題もなく、けっこう眠れたが、寝台車は、朝寝がいい。もう少し眠っていたいところだが、8:55札幌到着。桑園まで一駅電車に乗って、札幌競馬参戦である。小生、「ドラえもん列車」での参戦を希望するが、うし様は、一刻も早く競馬場に参戦したいたしく断念する。
その札幌競馬だが、久しぶりに馬券を堪能した。うし様は、急ぎたがっただけのことはあって、1Rで大勝利をおさめたようだが、小生も、後半から仕掛け、メイン11RしらかばSで大勝利。藤沢、伊藤雄ら人気先行のオカズが多く、美味しい馬券が多かった。10Rでは、愛馬イカルスドリームも3着に食い込み言うことなし。的中云々だけ
でなく、馬券検討にこれだけ2人で集中したのも久しぶりである。やはり中山あたりとは、何かがちがうようだ。なお、10Rで落馬したカンファーフラワー号が、レース終了後、カラ馬でオオ暴れ、ラチを壊しまくり、あわやスタンド側へ突進という騒ぎになった。場内整理員も倒されてしまい、心配である。
夜はもちろんビール園。もちろん外のガーデン席でいただく。昼間はけっこう暑かったが、この時間になると涼しいくらいだ。すすき野に戻り、ダイナマイトベースボール対決を勝利した後、解散。大通公園を歩く。気温は23度と本当に気持ちよい。今年は村山富市さんでおなじみのラーメン屋はやめて、「福来軒」さんをいただく。ここも芸能人のサインが満載という芸風だが、なかなか美味しかった。
札幌の宿は温泉大浴場が魅力の「アートホテルズ札幌」。部屋に戻って、テレビをつけると、「カズ2得点」という衝撃的な情報が飛びこんできた。やはり彼は”キング”なのだろうか?2度目の入浴をすまると、眠くなってしまい、前夜検討は断念した。
◆8月29日(日)
3日目の朝、札幌駅にて、レンタカーをゲットし、再び競馬場へ。トレン太君ことレール&レンタカープランで、乗車券が2割引になる。札幌までの乗車券は結構な値段だからかなりお得だ。
昨日とちがい、二人とも前半は気合が入らず、午後から仕掛けはじめるが、うし様は、大敗が続いている。大敗をとりかえすべく、さらに大敗を重ねており、長い馬券人生の中でも記録に残る大敗と見受けられる。それでもあきらめずに、買いつづけてしまうのが、遠征ならではの心の緩みかもしれないが、その執念が実り、新潟記念のブリリアントロード、さらに最終での大勝負で奇跡的に挽回した。小生は、昨日の勝ちは吐き出したものの、まずまずで、どうにか無事に登別へ乗り込むことができたのは幸いであった。
1000ccのマーチは、道央道で次々にパッシングされ、バスにあおられるなど苦戦しながらも、ユーミンのサウンドアドベンチャーを聞いているうちに、登別に到着。おなじみの温泉街のメインストリートを上っていくと、「極楽門」が現れた。そう、今日は、第36回登別地獄祭りの最終日なのである。
毎年のように苦言を呈している滝本インの夕食バイキングだが、ほんのわずかながら改善の兆候が見られた。5年前くらいから登場した見苦しいオードブルの撤退とともに、若干の入れ替えが発生している。大変な進歩である。フロントのお兄さんのノリもよく、外国人観光客相手に盛り上がっているあたり、侮れない。さすがに我々の心を10年にわたりつかんで離さないだけのことはあるのだ。
「滝本による滝本の滝本のための祭り」という雰囲気の地獄祭りだが、予想以上に盛大だ。敬意を表して、えん魔大王の登場だけ見てから、第1回入浴を行うが、みな祭りに夢中なのか、単に夏が終わり空いているだけなのか、風呂場ガラガラなのには、驚いた。
例によって、セールスマンが横で待機しているマッサージ機でくつろぐ。いつもの激しい売り込みがなく、うし様と、
「この機会、カール・ルイスが宣伝していたんだ」
などと雑談していたら、その会話を聞きとめて、突然、セールスマン氏が参加してきた。
「カール・ルイスは、1年契約で10億円くらいでした。」
「椅子ではなくて、足(の機械)が大切です。肩もんでも肩こりは直りません。足で治すんです。静脈の血をひざ上10cmまで吸い上げれば、あとは腎臓が吸い上げます。」
「西武ライオンズで使っていただいてます。」
「オリックスのイチロー選手は、『足の選手』です。彼も使ってます。」
などと立て続けにまくしたてる。イチローが『足の選手』と断定するのもどうかと思うが、その場は説得力があるのが妙だ。
「毎年迷うんだよね」
と思わず本音を漏らすと、
「10年以上迷っている人が一杯います。マッサージに10年通うと、140万。今どきカーナビだって、30万で、3年しか持ちません。この機械は、20年は持ちます。月々1万円ずつでOKです。」
とたたみかけてきた。
はっきり言って、買ってもいいと思う。それくらい素晴らしい機械である。この種の中では、ブランド品であり、高いが、安心ではある。母親と同居のうし様などは、親孝行にもなるはずだ。多いに心は揺れたが、かろうじて踏みとどまり、かき氷賞味、花火鑑賞、第2回入浴、ラーメン賞味と花火以外はおなじみのコースをたどり、就寝した。
◆8月30日(月)
いよいよ最終日。これまたおなじみのノーザンホースパークへやってきてしまった。なんだかんだとここもずいぶん来ている。とりあえず気持ちのよいところだ。
前回カトさんにまさかの不覚をとったパターゴルフ対決は、うし様の予想外の健闘により、36Hマッチプレー最終ホールへ持ち越され、まさかの2ダウン。つづくパークゴルフ対決で、かろうじて元ゴルフ部の面目をたもち、札幌での最終決戦に持ち越した。
札幌では、「かに将軍」に参戦。今回は、札幌どまりが1泊だけのため、急きょの参戦だが、お昼のメニューが実はおトクであった。2600円のコースで満腹になってしまい、動けない。そんななか、最後のダイナマイトベースボール対決は、1勝1敗と引分け、いよいよ北海道ともお別れである。
もう1泊するうし様と別れ、快速「エアポート」に乗ると、どっと疲れがでてきたが、最後にもうひとつお楽しみがある。帰りは、我らが北海道国際航空「エアドゥ」である。新千歳空港駅の改札を出ると、既存3社にまじって、「エアドゥ」の案内もあって、うれしくなる。
ところが、うれしくなって、よく見なかったのが、失敗で、エスカレータで2フロア上がり、おみやげ屋の横を抜けても、エア・ドゥのカウンターがない。時間貸しなのかとも思ったが、もう出発まで1時間である。おかしい。どうしたのか?
実は、エア・ドゥのカウンターは、1フロア下にあった。よくわからないが、そんなにひどい場所でもなかった。チケットレスサービスでクレジットカードを渡し、座席は自分で指定。北海道新聞夕刊のサービスもうれしい。
おみやげを買い込み、いよいよ搭乗。15番ゲートは、バスではない!他社よりだいぶ離れているが、れっきとした搭乗口である。機内は、2-3-2のシートで、B767の標準であろう。特に窮屈なこともない。JASのA300よりは快適である。もちろん飲み物その他のサービスはないわけだが、逆に、機内は実に静かでいい!制作費がすべて広告料でまかなわれているという機内誌には、北海道をはじめ、「かに将軍」「カルビー」「ラーメン横丁」など協賛各社の記事があり、応援ムード一色である。乗客も、めいめいかに寿司やお茶を用意しているようだ。
上空で延々着陸待ちということもなく、5分程度の遅れで、羽田に到着。もちろんここからはバスであるが、16000円の空の旅は、何の問題もなく、むしろ素晴らしいといえるものであった。何よりも手作りの暖かみが感じられるのがいい!がんばれエアドゥ!
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