8/31:同床異夢の政権交代から何をめざすか~第45回衆議院選挙回顧~
◆横浜・東京:あめ:9046歩
政権交代は確実になったのだけれど、比例の復活の確定は0時を過ぎてもなかなか決まらない。注目の北海道は、復活枠は2で、7区の人が予想外に接戦をしていたので、ビッグ3で復活できるのは、武部氏ひとりになりそうな情勢。町村氏終了とはすばらしいと思っていたら、7区の伊東とかいう人が800票差で小選挙区当選してしまった。全敗確実と思われた北の大地でどうやって勝利したのかと思うと、前釧路市長であって、しかも自民にもかかわらずムネオの支持を受けていたとのこと。恐るべしムネオパワー。別にこの人が当選するのはかまわないのだけれど、その結果、貴重な比例復活枠の2つ目が町村氏に与えられたのは誠に遺憾。この時間帯に、自民党の大物の比例復活が続々と決まる。
結局のところ、横綱クラス(麻生、森、福田ほか)は、僅差ながら自力で勝利。大関クラス(野田、小池、与謝野、町村、武部、額賀、伊吹、中川秀ほか)は、比例で復活。完全に終了したのは、年齢制限で重複立候補できない海部氏らをのぞけば、久間、丹羽、船田、赤城といった関脇クラスになってしまったのは残念である。
ただ、こういう結果だけに着目して、比例重複立候補に反対する人がいるけれど、実際問題、比例代表並立制の下で、重複立候補を禁じるのは非現実的である。重複立候補がなければ、名簿には、ひたすら党職員などを並べておくしかなく、要するに、タイゾー氏のような議員が100人単位で生まれることになる。たとえば、前回の民主党は、東京の小選挙区で軒並み敗れたけれど、比例で救われた数少ないひとりが、ミスター年金の長妻氏である。重複禁止で彼の代わりに、わけのわからない党職員が民主党を代表していたら、消えた年金問題はどうなっていたか?物事は、トータルでよく考える必要がある。
そして小選挙区制度そのものについても、もちろん意見はあるだろうけれど、80年代の政治の数少ない成果が消費税だとすれば、90年代の数少ない成果が小選挙区制度である。小沢一郎くんはもちろんのこと、羽田氏、細川氏、武村氏、宮沢氏、河野氏。立場はいろいろあったが、多くの人がなんとか政治改革、そして政権交代可能な制度と考えてめざしてきた小選挙区制度。ようやくその最初の政権交代が実現したばかりなのだから、選挙制度を考えるのは、もう少し経ってからでも遅くはないはずだ。
もうひとつの比例代表の注目点であった、民主党の名簿登載候補者不足問題は、懸念された北の大地や南関東ではなく、近畿で起こった。13議席の権利に対して、小選挙区落選での復活がわずかに3人。比例単独候補が8人しかいないため、2人不足。大変遺憾ながら自民党と公明党に割りふられた模様。
そして、もうひとつ予想外の大波乱は、みんなの党で起きた。渡辺氏が立候補している北関東以外でも比例代表で予想以上の大健闘を見せて、南関東と東京でも議席を獲得。そして、東海と近畿でも1議席の権利を得たのだが、名簿登載が小選挙区の候補者ひとりだけ。小選挙区敗北者の復活条件は、小選挙区で、有効投票の10%を獲得しなければいけないという規定がありアウト。党職員を並べておけば当選できたのだから実にもったいない。改選4議席を上回る5議席でも十分健闘だが7議席となっていれば、社民党に肩を並べるところで実にもったいなかったし、各種世論調査が読みきれなかったところである。ただし、東京で飲酒運転隠蔽疑惑の柿沢未途くん(故柿沢弘治くんのご子息)が比例復活したのは誠に遺憾であると言わざるをえない。
ところで、このみんなの党の健闘に、今回の選挙結果を読み解くカギがある。地方での民主票は、大半が自民党へのお灸、そして、疲弊しきった経済の活性化へとりあえず大きな政府で直接的に支えることを期待しての民主党への支持。一方で、3大都市圏を中心とする都市部のホワイトカラー層は、本質的には、今の民主党のバラまき型にはあまり賛成していないし、郵政民営化を逆行させてほしくもないし、派遣をやめろという社民党も論外。アンチ自民党の中身も、アンチ官僚の色彩が強い。したがって、自民、民主の対決なら民主党に入れるけれど、みんなの党のような選択肢があれば受け皿になりうる。高知であたりで無所属の橋本氏が負けたのと対照的である。
アンチ自民でも期待する政策がちがう都市部と農村部をどう両立させるのか。4年間あれば、両立も可能かもしれないが、問題は、参議院で過半数に足りないこと。さしあたっては、国民新党と社民党と連立せざるをえない。こども手当てくらいならよいけれど、あまりに大きなばらまきや、社会主義的な政策、あるいは安全保障のぶれとなってしまえば、来年の参議院選挙でしっぺ返しをくらう可能性が高い。化けの皮がはがれつつあるオバマ氏だが、彼には結果を出すために4年間の時間が与えられている。一方、友愛に与えれた時間は1年。うまく国民の支持をつなぎとめて政策を実行できるのか。あるいは、小沢一郎くんが参議院自民党を切り崩して、社民党を切り捨てるのか。しかし、とにかく前回の細川連立政権の失敗だけは繰り返してはいけない。参議院で厳しい状況になっても絶対に4年間解散せずに、4回予算編成をして、自民党と官僚を干し上げるべきである。
今朝は、いつもより少しゆっくりで6時30分起床。キヨスクで、ニッカン、日経の他、朝日、毎日、読売、神奈川の各紙を購入。
台風接近の中とはいえ、何ごともなかったのかのようないつもの月曜と同じ通勤風景。しかし、多くの人が昨日、政権交代への1票を投じ、その実現への期待で高揚感をもっているはずである。民主主義も小選挙区制もばら色の未来は約束しない。しかし、1滴の血も流さずに、静かな革命を実現できる1点において優れているというしかない。
帰りはフジとゲンダイ。各紙が政権交代の意義とともに民主への不安を併記したりしているのに対して、これまでも自民党批判を徹底的に繰り返し、民主に好意的だったゲンダイは、すなおに喜びを表現している。「ざまみろ」の文字も躍っている。新聞もこのくらいおもいきって、政党支持を出してくれた方がわかりやすいし、その分、責任もはっきりするのだからよいことだ。
難しい話はこのくらいにして、テレビタックルを堪能してから就寝。
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