10/14:裸の王様の耳はロバの耳
◆横浜・東京:くもり:12497歩
前原大臣、羽田のハブ空港化を突然表明。小生ですら、一瞬、「いきなり、それは・・・」って思ってしまったけれど、言われてみれば、国民の95%くらいは賛成のはず。「国内線と国際線が分離され、結果的に日本のハブ空港は(韓国の)仁川(空港)になっている」のは間違いないし、東京の人よりもむしろ地方の人が不便を感じているはず。そもそも、「内際分離」なんて考え出した方がおかしい。
成田市長は、「成田(空港)は多くの血が流され、建設された。そういう経緯がわかっているのか」と言うけれど、そんなことみんなわかっている。じゃあ、多くの血が流されたから、永遠に国際空港は成田なのか?ということ。
大臣は、今日になって、少しトーンダウンしたようだけれど、おそらくこれも折込済みなのだろう。とにかく今回の発言は、政権交代のよい面を国民に強烈にアピールすることに成功したと思う。過去の失敗や時代とともに変わってきたことにしばられずに正論をベースにリセットするには、やはり政権交代しかないということが実にわかりやすく伝わった。そして、一度正論をぶちあげてしまえば、あとは、その方向へ向かっていろいろなことが動き出していくだろう。国土交通省の役人だって、ほとんどの人が羽田がハブ空港の方がいいと思っているにちがいないのだから。以前、羽田はこれ以上滑走路を増やしても米軍の空域を取り戻さないと増便できないっていう話もあったけれど、現実には、なんだかんだと発着枠は増えているし、めざす方向を決めれば各論の解決は役人の得意とするところだ。
成田をどうするか、関空をどうするかは、まず羽田をどうするか、どうできるかを考えてから決めればいい。首都圏の人口や経済規模を考えれば空港が複数あってもまったく違和感はない。圏央道なども整備されることだし、貨物は成田をベースにできるだろうし、着陸料に差をつければ、国内外問わず、格安航空会社が成田から飛ばす需要はあるはずだ。首都圏の人には、成田を第2の選択肢として使えるようにすればよいけれど、秋田だとか出雲だとか高知あたりから、国内線で羽田に来て、どっかに1泊してバスや京成で成田へっていう非人間的な移動を強要するのはもう終わりにしたい。W杯出場の道が絶たれ、やる気のない状態でわずか14人で来日したサッカーのトーゴ代表は、成田への長旅が終わってから、試合会場の仙台までの移動が4時間と聞いて呆然としたという。
結局、八ツ場ダムもまったく同じで、経緯がどうだから、地元の人が移転途中だからとか、そういうことは、過去の自民党政治の失敗であって、そのことと費用対効果の合わないダムの建設を続けるかどうかはいったん切り離して考える必要がある。そのうえで、個別の問題を解決すればいい。
落としどころを見極めずに暴走するのでは?と心配していた前原氏だけれど、案外したたかなのかもしれない。高速道路問題、JAL問題、空港問題とくれば、残りは氏の趣味であるところの鉄道。リニアや新幹線を整備すれば、羽田の国内線を減らすことができるので、その分国際線にさらに枠をふりむけることができる。(たとえば、北陸新幹線が開業すれば、富山や小松便は絶滅するだろうし、青森、三沢の減便も時間の問題。)鳩山首相の国際公約であるCO2削減に大きな効果があるのは、貨物輸送を鉄道にシフトさせること。夜中に東名を走るトラックの大半を鉄道と船に切り替えられれば、相当な効果があるはずだ。交通体系全般の再整備に向けて、前原大臣の蛮勇に期待したい。
« 10/13:お肉をジウジウと焼く | トップページ | 10/17:高みの見物!CS見ながらカレー作り☆ »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 2025/4/23:MacBook Air帰還(2025.04.23)
- 2025/3/31:Pensta POP-UP STORE@高輪ゲートウェイシティ街開き(2025.03.31)
- 2025/3/7:ANAインターコンチネンタルホテル東京・カスケイドカフェに参戦(2025.03.07)
- 2025/1/5:金杯プチ敗(2025.01.05)
- 2025/1/2:実家で一献(2025.01.02)
済んでしまったものは、新たにコスト計算に入れてはならないというサンクコストの概念が理解できない人が多すぎるような気がします。成田もダムも全部サンクです。塩漬け状態で損切りできない株がサンクの典型で、案外そういう株を持ちつづけている人が結構な割合でいるのではないでしょうか。JAL株とか・・・。案外頭でわかっていても合理的に行動するのは難しかったりするものです。自分で失敗と認められないからです。
投稿: guhnguhn | 2009/10/14 23:29
実際、名うての鉄ちゃん前原氏は、全てがいろんなことがわかっていたうえでの行動なのではないかとおもわされます。
就任早々一番もめそうなダムに視察にいき、次に泡瀬干潟、それから地方の道路中心に予算凍結し、どこの省庁より巨額の執行停止、極めつけは新幹線予算を全額許容しながらの羽田ハブ化宣言。
恐らく、羽田ハブ化とフルタイム国際化で潤い、一番恩恵があるのがJALであり、一気に色んな問題が解決すると感じます。
さすがだなと、感心します。
投稿: buschan | 2009/10/14 23:54
>guhnguhnさん
うちの母親なんかも、絶対に損切りしないで、何年も待っていて、元に戻ったらも儲けたつもりになってますからねぇ。役人に任せていたら絶対に失敗は認めませんから、政権が交代するしかないのでしょう。
>buschanさん
長妻大臣なんかは、早くも煮詰まっている感がありますが、それに比べると前原氏は、スケールが大きい感じはしてきました。盛大に風呂敷広げすぎて何もできずっていうことにならないようがむばって欲しいです。
投稿: しんちゃん | 2009/10/17 22:01