2014/2/28:ななつ星乗車記 Vol.0〜ななつ星出発までの長い旅〜
◆横浜→東京→福岡:はれ
今からもう1年近く前、東京ドームでファイターズ戦観戦中に見知らぬ番号から着信。場内の歓声でよく聞き取れないのだけれど、どうやらななつ星が当選したという。衝撃的である。そこから今日まで、テンションを少しずつあげていく長い旅が始まった。
国鉄民営化の1987年。JR九州は、石井氏が社長になった。東海の須田社長、東日本の山ノ内副社長とともに国鉄改革のエースとして民営化に向けて準備を進めてきた三羽烏の一人なのだけれど、石井氏の元々の専門は車両ということで、民営化直後から、ハイパーサルーンなどの新型車両を意欲的に投入。そして、92年には、JR九州の幹線である博多ー熊本ー鹿児島間に、787系つばめが登場。ガンメタリックで未来型のデザインに、ビュッフェや豪華グリーン車。国鉄時代のイメージを払拭するこのすばらしい車両は、デザイナーの水戸岡さんによるものであり、ここから、「白いかもめ」、「ソニック」、さらには九州各地に展開するリゾート車両など、JR九州と水戸岡さんによる楽しい車両が続々と投入される。輸送量の多い本州3社は、どうしてもビジネス指向の車両が中心になるし、北海道や四国は財政難もあって新車投入に及び腰になる中で、楽しい車両のJR九州のイメージはダントツで、九州新幹線にもそれは受け継がれるとともに、業績も上向いて、上場も視野に入ってきた。
そんな数々のプロジェクトを水戸岡氏に任せてきた唐池氏が今ではJR九州の社長になって、いよいよその集大成として作られることになったのが「ななつ星」。寝台列車が次々と姿を消すなかで、従来の鉄道の旅のイメージを一新するクルーズトレインである。
第1期の募集は、たしか2012年の夏頃。2名1室で、1泊2日で15万、3泊4日で50万。お金はどうするんだ?誰と行くんだ?ということはとりあえず棚に上げて、応募はしてみたけれど、あっさり落選。平均倍率は10倍くらいになっているらしい。まぁ、定年になるまでに当たればくらいの感じで、そのまま第2期も応募したところ、まさかの当選。今回も倍率は10倍近かかったようで、第1期の落選者が多少優先されたらしいとはいえ、びっくりである。
(まさかの当選!)
当選のお知らせとともに、クリアファイルと冊子が送られてきて、手付金の他、同行者の詳細とか、いろいろ提出しないといけない。母が興味を示さなかったので、鉄分上昇中のkecoさんに打診して了承を経る。その後も、なんだかんだと電話がかかってきたりして面倒といえば面倒。それに、何しろ、この段階では、車両も完成していないので、パンフレットなどもポンチ絵ばかりで、タダモノではないということはわかるけれど、具体的にどこがどうすごいのかはよくわからない。
その後も冊子が2、3ヶ月に一度送ってきて、じわじわとテンションを高めていき、夏頃になると、車両も完成して、あちこちで話題になるようにもなってきた。ツイッターで「ななつ星当選!」とつぶやいたのが検索に引っかかったようで、取材の依頼も2件くらいあってちょっと迷ったけどさすがにお断り。10月に運行開始すると、テレビや雑誌などでも取り上げられるようになって、柿右衛門さんの洗面所とか、ラウンジのピアノとか少しずつ分かってきたけれど、何しろ厳正な抽選で、1回のお客さんが30人で週に2コースだから、マスコミといえでも簡単には乗れないようで同乗取材はなく、外から撮影する程度。ますます神秘性が高まる。
年が明けると、一度もお会いしないうちに担当のアテンダントが異動で交代になったとかで、新しい担当者から、さらに詳しいご案内として、ドレスコードが到着。なんでも、朝はカジュアル、昼はスマートカジュアル、夜はセミフォーマルだというのだけれど、セミフォーマルって言われましても、結婚式ももう何年も出てないし、たった1泊2日でいったい荷物はどうすればいいんだという感じ。そごう冬市に参戦して、スーツ売場のおじさんに「ななつ星」っていうのがあってですね、と説明しても分かってもらえたようなもらえないような。。。
2月になって、いよいよテンションが高まってくる一方で、インフルエンザにだけはならないようにしないととか緊張感も高まってくる。毎日手洗いとうがいを励行しているうちに、ガイドブックと最終の案内が到着。1泊2日なのにドレスコード対応の着替えやら靴やらで、コロコロのバッグが必要になってしまうのだけれど、そこは、クルーズトレイン。専用のタグをつけて、事前にゆうパック着払いで送っておくと列車に格納しておいてくれるのだという。
1週前に荷物を送り、いよいよ前日の金曜日は、花粉が盛大に舞う春の陽気。大事をとってお休みをいただき、tckで愛馬ダマスクインゴット号に声援をおくるも無念。モノレールで早めに羽田へ移動して、てもみんで体をほぐして、ラウンジでゆっくりして、kecoさんと合流してJAL最終便で福岡へ。
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